政府が商社を通じて輸入、製粉会社等へ売り渡す輸入小麦の価格が10月より、主要5銘柄で平均10%超の値上げになる。背景には、オーストラリアの不作とバイオエタノール原料への転作による世界の穀物市場の高騰が有る。トウモロコシ・輸入大豆、海外に依存している穀物・飼料の価格はこの一年で大幅に値上がりした。世界人口が増え、アジアアフリカ等の途上国の所得が上がり、穀物に対するインフレ懸念は、バイオエタノールの需要増(ブーム)により一気に深刻化してきたのだ。
さて、国産穀物に目を向けると、カロリーベースの自給率40%を10年内に45%まで上げるとする農林水産省の目標を達成すべく、米・麦・大豆の主要作物とその担い手に集中的に施策を集中させる「品目横断的所得安定政策」がスタートしたが、その効果も未知数である。実際、先般発表された国内自給率は39%。45%どころか40%を保つことすら出来なかった。
WTO対策として緑の政策(公平な国際競争を醸成するため、国内の生産振興の為の補助金は削減対象となる)などと、優等生的な事を言っていては、日本の農業は壊滅する。
国内農業の保護は、WTO・FTA・EPA交渉の足を引っ張る。、日本の経済を支える大企業の一部は、農産業などは自分達の税金で食わしてやるから、農産物は自由化して機会損失は避けたいなどと思っているかもしれない。
たしかに、今は車・ハイテク製品を輸出してなんぼの国かもしれない。
しかし、戦後、奇跡の高度経済成長を続けてきたこの輸出モデルが未来永劫続くのだろうか。
この国の舵取りに責任ある官僚・政治家の方々。
是非、一世紀位のスパンでこの国の国土・文化・人々・暮らし・生活をデザインしていただきたい。
産業・経済・環境・外交その全てが持続可能なシステムでなければ、22世紀の日本は無いと思う。
モノ的な豊かさから、精神の豊かさ心の豊かさの時代へ。
水が豊かで、自然を愛でるこの国の心は、アジア、世界のモデルとなる可能性を秘めていると思う。
キーワードは内需。持続可能なシステム。
例えば稲作。日本人は世界に誇れるこのシステムをないがしろにしてはいけない。
美しい瑞穂の国日本。
阿部首相のスローガンは少し時代を読み間違えたのかもしれない。
本日の毎日新聞によると。農林水産省が戦後の農地制度の基本理念だった「自作農主義」を放棄。農地の「所有」よりも「利用」を重視した法体系に転換するそうだ。
農地に関係ない人にはピンとこないかもしれないが、農家にとってはビッグニュースである。
これから見直される内容がどんなものになるか分からないが、農地の流動化や相続税の納税猶予制度の改正など、色々な面で改革・混乱が起きそうである。また、2008年度予算の概算要求に200億円超の総合対策費を盛り込むというから、農林水産省は何をやらかす気なのだろうか?はっきりいって恐ろしい。
私は、土地利用型の大規模な穀物農家で、その生産のほとんどを借地で行っている。「利用」を重視すると言うことは、短い利用権の設定や、不確実なヤミ小作、地主様の納税猶予を手助けしている作業請負などが減るということなのだろうか?千年産業を経営理念に上げる当農場としては有りがたい事かもしれないが、利用料が上がり地主に対して賃借料の補助金が出たり、農地の集積化を大義名分にして、土作りをしてきた有機農地から追い出されたり、いろいろな事が起こりそうだ。
このところの農政改革は、農家のヒアリングも行わずに農林水産省主導で、ドンドンハイペースで進んでゆく。農地法の改革の前にやらなければならないことが沢山有るような気がするのは、私だけだろうか。
農地は国民のもの。
どうせなら、農地全てを、国が買い取って、平成の農地改革を行ってはどうだろうか?
私も含めて、農地は売買目的の資産では無く、未来永劫耕す人の「農の場」でしかないと言うことを再認識すべきである。その意味では「所有」から「利用」重視の流れは賛成できる。しかし、取っ掛かりの考えが良くても、議論している間に中途半端に、あるいは運用の仕組みや人力不足で違う方向へ行ったりすることも有る。
農林水産省の打ち出す政策や施策に対して、なんの影響力も持たないが、地域の現場が混乱して、規模が極端に減ったり有機農家が締め出しをくったりするのだけは勘弁してほしい。
一生懸命に、心静かにそして心豊かに営農をさせてほしい。
合理主義・産業第一主義・WTO・EPA・企業参入・・・・・なんでもいいが
是非、心の通った農政で有ってほしいものだ。